リンパ節の腫れにお悩みですか?
「リンパ節の腫れ」とは、体内の免疫システムが活発に反応している兆候の一つです。リンパ節は、感染や炎症が起こるとそれに応じて大きくなり、これは主にウイルスや細菌に対する防御反応として見られます。
通常、リンパ節の大きさは1cm未満ですが、腫れると2cm以上に増大することもあります。リンパ節の腫れは、首、脇の下、鼠径部などの表面に近い部位で確認されることが多く、痛みを感じる場合もあれば、無痛であることもあります。原因としては、風邪やインフルエンザ、喉の炎症などの感染症や炎症性疾患が多いですが、悪性リンパ腫や白血病といった血液の病気やがんの転移など、より深刻な病気が関与していることもあります。
診断には、まず触診や血液検査を行い、場合によっては超音波検査やCT検査を行います。それでも原因がはっきりしない場合は、腫れているリンパ節を切除もしくは一部を採取し、顕微鏡で見る検査(生検)を実施して原因を確認し、治療方針を決定します。腫れが長期間続いたり、痛みを伴わず硬く感じる場合は、早めに医療機関を受診することが推奨されます。
リンパ節が腫れる原因
感染症
ウイルスや細菌による感染は、リンパ節が反応して腫れる主な原因の一つです。風邪やインフルエンザ、扁桃炎、咽頭炎などの感染症により、免疫反応としてリンパ節が一時的に炎症を起こし、腫れます。感染による腫れは通常痛みや圧痛を伴い、感染が治まると腫れも徐々に引いていきます。血液検査や感染部位の診察により診断され、抗生物質や対症療法が行われます。
結核性リンパ節炎
結核菌がリンパ節に感染することで、特に首のリンパ節に腫れが見られます。多くの場合、痛みを伴いませんが、進行するとリンパ節が硬くなることもあります。血液検査、結核菌の培養検査や超音波やCTなどの画像検査によって診断され、数ヶ月にわたる抗結核薬治療が必要です。
自己免疫疾患
全身性エリテマトーデスやサルコイドーシスといった自己免疫疾患でもリンパ節が腫れることがあります。体の免疫系が自身の組織を誤って攻撃することにより、炎症を引き起こし、リンパ節が腫れます。全身症状として、関節痛、発疹、発熱なども見られることがあります。ステロイドや免疫抑制剤が主な治療法です。
成人T細胞白血病・リンパ腫
成人T細胞白血病・リンパ腫は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型)の感染によって引き起こされる悪性リンパ腫の一種です。リンパ節の腫れに加え、皮膚病変や肝脾腫、感染症が頻発することが特徴です。HTLV-1は主に乳児期に母乳を介して感染しますが、この病気を発症する確率は生涯で2〜5%といわれています。また、血液を介して感染することもあります。診断には血液検査やリンパ節の生検や骨髄検査が必要になることがあります。病状によっては無治療経過観察のこともありますが、治療が必要な際には抗がん剤や分子標的薬、免疫調節薬などが投与されます。場合によっては骨髄移植などの造血幹細胞移植が行われます。
白血病
異常な白血球が増え、リンパ節や肝臓、脾臓に浸潤することで、リンパ節が腫れることがあります。白血病は急性と慢性があり、それぞれ骨髄性とリンパ性があり、主に4つのタイプに分けられます。どのタイプの白血病でもリンパ節が腫れることはありますが、特にリンパ性白血病でみられることが多いです。その他の症状として、貧血や感染症、出血傾向が挙げられます。血液検査や骨髄検査により診断され、抗がん剤や骨髄移植などの造血幹細胞移植が治療の中心です。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、リンパ球ががん化することで起こる血液のがんです。特徴的なのは、首や脇の下、鼠径部のリンパ節が痛みを伴わず長期間腫れることです。悪性度の高いタイプでは、週もしくは数日の単位で腫れが大きくなってくることがあります。発熱、体重減少、寝汗といった全身症状(B症状)が伴う場合もあります。診断にはリンパ節の生検が必要です。低悪性度リンパ腫の場合は無治療経過観察が可能な場合もありますが、中〜高悪性度リンパ腫は治療が必須となります。治療には分子標的薬や抗がん剤、放射線療法が行われます。
リンパ節の腫れに関する
よくある質問
リンパ節の腫れはどれくらいで治りますか?
軽い感染症が原因の場合、リンパ節の腫れは数日から2週間程度で徐々に引くことが多いです。ただし、腫れが長引いたり悪化する場合、または腫れた部分が非常に大きくなった場合は、さらなる検査が必要です。
リンパ節の腫れを予防する方法はありますか?
感染症がリンパ節の腫れの主な原因であるため、手洗いやうがいを徹底し、風邪やインフルエンザなどの感染を防ぐことが予防につながります。また、ワクチン接種や免疫力を高めるために健康的な生活習慣を心がけることも大切です。
リンパ節の腫れはすぐに治療が必要ですか?
腫れが感染症によるものであれば、通常は自然に改善することが多いです。しかし、悪性リンパ腫や白血病などが疑われる場合は、早急な治療が必要なことがあります。特に、リンパ節の腫れに伴う全身症状や異常な血液検査結果がある場合、速やかに医療機関を受診することが重要です。
リンパ節の腫れはどこに現れることが多いですか?
リンパ節の腫れは、首、脇の下、鼠径部などのリンパ節が皮膚のすぐ下にある部位でよく見られます。また、胸や腹部など体の深部にあるリンパ節も腫れることがありますが、触診で確認するのが難しく、画像検査が必要です。無症状のこともあり、健診での超音波検査で偶然みつかることもあります。
リンパ節の腫れが複数箇所で起こるのは危険ですか?
複数箇所のリンパ節が腫れる場合、全身性の感染症や自己免疫疾患、血液のがんなどにより、重篤な病気が原因の可能性があります。血液検査や画像検査、リンパ節の生検などで原因を特定することが重要です。
リンパ節が痛い場合と痛くない場合の違いは何ですか?
リンパ節が痛む場合は、通常は感染症や炎症が原因であることが多いです。痛みは免疫反応によって炎症が引き起こされているサインです。一方、痛みを伴わないリンパ節の腫れは、悪性リンパ腫や白血病、がんの転移などの重篤な疾患の可能性があるため、注意が必要です。
リンパ節の腫れとしこりは違いますか?
リンパ節の腫れとしこりは似ていますが、しこりは皮下などのリンパ節以外で、腫瘍や嚢胞など別の原因でできるものを指すことが多いです。リンパ節の腫れは、免疫系が働いているサインとして腫大するものです。しこりが痛みを伴わず、長期間続く場合は医師の診察を受けることが推奨されます。
リンパ節の腫れはストレスが原因で起こることがありますか?
ストレス自体でリンパ節が腫れる原因になることはありません。ただし、ストレスで免疫力を低下させることによって感染症にかかりやすくなる可能性があり、その結果、リンパ節が腫れることがあります。
リンパ節の腫れは、片側だけに現れることがありますか?
リンパ節の腫れが片側だけに現れることがあります。片側だけが腫れる場合でも、感染症が局所的に影響している可能性があります。ただし、片側だけの腫れが長く続いたり、硬く痛みを伴わない場合は、悪性腫瘍などの可能性もあるため、医師に相談することが重要です。
リンパ節が腫れているときに、熱を持っているのは異常ですか?
リンパ節が腫れて熱を持っている場合、通常は感染や炎症が原因です。炎症に伴い、免疫反応として局所的に熱を持つことがあります。もし発熱を伴って全身の症状が出る場合や、腫れが長く続く場合は医師の診察を受けるべきです。
リンパ節の腫れが引いた後に再発することはありますか?
リンパ節の腫れが再発することはあります。特に慢性の感染症や自己免疫疾患、がんなどが原因の場合は再発することがあります。再発する場合や頻繁に腫れる場合は、基礎疾患の有無を確認するために追加の検査が必要となることが多いです。
風邪を引くたびにリンパ節が腫れるのは普通ですか?
風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると、免疫系が活発に働くため、リンパ節が腫れるのは一般的な反応です。通常、感染が治るとリンパ節の腫れも自然に引きますが、風邪が治っても長期間腫れが続く場合は、追加の検査が必要かもしれません。